2017年 04月 28日
ある男のコの一言 |
ドッグウォーク(お散歩代行)のお仕事中に、
十数人の幼稚園の子供達にわ〜っと囲まれた。
私は、黒い中型犬を連れて歩いていた。
最初は一人のコの「あ!大きくてかっこいい犬がいる!」の一言から始まった。
それをきっかけに、子供達がみんな興味津々に集まってきて、近寄りたいけど、
でも怖いという感じで、近寄ったり離れたりしているうちに、
犬と目が合うと「キャー!」「ワー!」と大声で叫び出した。
子供達はみんな笑顔で興奮してて、決して悪気はないのだけれど、
犬を含め、動物はこのような反応をされると、大概怖がったり
とても嫌な気持ちになるもので、私が連れていた犬もやはり
最初こそ子供達に挨拶しようと、ゆっくり近寄ろうとしたが、
大騒ぎする様子を見て、困ったようにその場を去ろうとしたのだが、
犬が背中を見せると、子供達はまた手を伸ばせば届きそうな
距離までグイグイと近寄って同じ速度で歩いてついてくる。
犬が振り返るとキャー!といって騒いで逃げる・・・。の繰り返し。
動物と暮らしたことがなかったり、
親御さんや身近な大人に動物の前で大声で叫んだり騒いだり、
走ったりしてはいけないということを、日頃から教わっていないとしたら、
子供達がこのような反応をしても仕方がない。
犬に対する子供達の様子を見て、引率の先生らしき方々も特に何も言わなかった。
日本ではよく遭遇する事で、毎度ため息をつきたくなることの一つ。
(海外に行った時、このような騒ぐ行動をする子供達を見かけることは少ないが、
親や先生が子供に、動物との接し方について説明している姿はよく見かけた。)
動物の前で騒いじゃダメだと教えてあげる役目を私が請け負った所で、
赤の他人から、楽しい気持ちに水をさされる子供達も気の毒かなとも思うので、
いつものごとく、憂鬱と諦めの混じった気持ちで黙ってやり過ごそうとした。
その時、その子供たちの中の一人の男のコが
「静かにしなきゃダメだよ」と、普通の口調で言った。
その一言は、周囲の子供達と私をハッとさせた。
私も即座に同調して「そう!!静かにね!」といって、シ〜!というと、
子供達が次々に、口に人差し指を当てて、シ〜!の仕草が連鎖した。
しかし、それでも一人の女のコには、シ〜!の連鎖は伝わらず、
興奮冷めやらずといった様子で、キャー!キャー!とひときわ大きな声で騒いだ。
その叫び声を聞いて私の連れていた犬は、歩きながら私を挟んで子供達から
離れた位置にすっと移動した。
それを見て先ほど「静かにしなきゃダメだよ」と言った男のコが、
「ほら、怖がって逃げちゃったでしょ」と言った。
私が連れていた犬は、嫌だと感じても、吠えたり走ったりなど、
急な動きやオーバーリアクションはしない犬だったから、
よく見ないと、嫌がってると分からない程度の仕草だったと思うが、
その男のコはそこを読み取り、犬を守るための行動をしてくれた。
そのコは、犬とか動物と暮らしたことがあるのかもしれないし、
親御さんや周囲の大人に、動物との接し方を教わっていたのかもしれない。
男のコが発してくれた一言おかげで、
その場にいた子供達の行動が変わったし、私は感激し、
憂鬱も吹き飛んだし、勇気を貰った気がした。
あの男のコのように、物言わぬ動物たちの味方にもなり得るような
子供達がもっと増えてくれることを切に願うと同時に、
私も、黙ってやり過ごしがちだけれど、
行動に移さないといけないなと感じた一件だった。
by scentline
| 2017-04-28 00:15
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